丸の内OLの観劇日記

20代会社員が宝塚について語ります!

月組「Golden Dead Schiele」観劇感想

こんにちは

 

先日、G.O.A.T「RRR / Violetopia」とあわせて「Golden Dead Schiele遠征観劇してきました!!配信も改めて観ましたので感想を書いていきます。

 

観劇後、Wikipediaでエゴンシーレを調べましたが28で亡くなった短い人生のほとんど全てのエピソードが網羅されており、無駄な脚色や脱線がなく、「死と乙女」という作品を描き上げるところまでを焦点にあてた、とても綺麗なまとまった作品だったと思います。

幼少期に父親に絵を燃やされるエピソードと裁判で絵を焼却処理されるエピソードを同じ大楠てらに演じさせリフレインするところや、ヴァリが牢獄に差し入れる紙とペンとエディトが戦中に買ってきた紙とペンの対比、結婚しなくても分かり合えると思ってたエゴンと気にしていたヴァリ、死の幻影とヴァリが絵画と同じ構図になったところに絵が降りてくるとか、象徴的に差し込まれる演出も印象的で、すごく良いまとまりの作品だったと感じました。ハイカロリー作品に慣れてしまった私も悪いですが、まとまりは良かったけどそれ以上はないというのも正直なところです。その分、役者の芝居で成り立っていた部分が大きくて、若手一人一人が実力を発揮するという点ではバウ作品として大成功だったと思います。

 

それではキャスト別です!

 

エゴン・シーレ彩海せら

本当にバウ初主演…?あまりにも出来上がりすぎていて芝居も歌も真ん中で発するパワーも素晴らしかった。歌の節々、黒燕尾の胸の張り方に望海風斗を感じるし、怒りの表現や不機嫌な顔がに月城かなとの面影があり、芝居での目の使い方に朝美絢を感じる。でも色んなスターから学んだことを自分のものとして噛み砕き練り上げた彩海せららしさというのが出ていた第一期の集大成という感じでした。少年と青年の狭間の危うさと儚さをここまで役に投影できるのは本人の強みですし、全てひっくるめて本当に上手いなと思いました。

いつかは役として幸せになってほしい、明るい世界で生きてほしいと願いますし、もう少し大人を描いたらどう演じるのだろうとも思い、これからがますます楽しみになった点でも初バウ主演として大成功だと思います!あっぱれ!

 

ヴァリ・ノイツェル : 白河りり

ここ最近は別格枠の芝居も歌も毎回素晴らしく演じてきて、ここにきてちゃんとヒロインもできると大々的に示され、向かうところ敵なしのスーパー娘役として台頭したと感じたヴァリでした。

ソロ歌はもちろん上手いですが、1幕ラストの夢奈瑠音・英かおと・瑠皇りあ・七城雅と5人で歌うところは全員上手い中でも、男4:女1のハモリでしっかり声量と安定した音程と芝居で聴かせていてすごいなと思いました。

私は派手なところへは行けないとエゴンに言っている時は気丈でも、実際エディトの結婚式ではずっと不安そうで、シーレ母にこんな身分の…と言われた時には唇と拳をギュッとして、そこからの「あなたはおめでとうも言ってないわ!!」から別れまでの芝居の丁寧さと感情の出し方の塩梅が特に素晴らしかったです。

あみりりのデュエダンは個人的には夢かと思うくらい最高の組み合わせでした。

 

グスタフ・クリムト夢奈瑠音

激しく生きていた時代があったであろう芸術家の穏やかな晩年という雰囲気を少ない場面でもしっかり感じさせる見事な演技。今は菩薩のようでエゴンにもヴァリにも優しい祖父のような存在だけど、絶対エゴン以上にとんでもない時期あったんだろうな〜と感じさせるのが只者じゃなくて良かったです。

 

アルトゥール・レスラー : 英かおと

髭×スーツ最高です。脚が長すぎて髭でさらに小顔でとんでもスタイルでした。若者たちに仲間だ!と言われて、嬉し照れ臭いカワイイオジサンな部分もよかったですが、なにより最後の場面「私は君を書くには…」のところの抑えて噛み殺した演技が絶品でした。

 

アントン・ペシュカ : 瑠皇りあ

前半はマックスの方が気が短くてエゴンとマックスを上手くまとめている理解のある優しいお兄さんな雰囲気だった分、ゲルティとの結婚式での喧嘩のシーンは迫力がすごくて見せ場でした。穏やかでおおらかなイメージがある分、本当に怒ったら1番怖い人…感が出ていてよかったし、彩海せらの演技が素晴らしいので対等にならなくてはいけない友人としての喧嘩シーンで全く引けを取らず本気で戦えていたのはすごいと思います。

 

マックス :七城雅

エゴン アントンを演じる2人よりも実際に学年が下で、そこがマックスの若さに繋がっていて、夢に目を本気で輝かせて、その分裏切られた時に本気で怒ってしまうという素直な感情が無理なく表現されていたところが良かったし、喧嘩の直後そのまま振り返りのシーンになると「言い過ぎだと思います。それだけ若かったということです」でちゃんとスンと落ち着いて遠い目をしていた切替がなかなかに見事でした。

 

月組はトップ3の一人っ子トリオが既に最高で、でもおだぱるあみという次世代も全員持ち味が違って未来は明るいと思っていたのに、あみるおきどというさらに次世代までこんなに明るいのか!!!と強く感じた3人のフィナーレ黒燕尾。この3人が、3人だけでこの学年で黒燕尾を踊ったところを生で観劇できたことが私にとって宝物ですし、「新しい時代を作るんだ!!」と高々と歌っていた姿は本当に次の月組の時代を感じさせるものでした。

 

死の幻影 : 彩音星凪

本当に絵画から出てきたのではないかと思わせる美しさと異物感、佇んでいるだけなのにエゴンに恐怖を与える存在感、一挙一動に意味を持たせるダンス、どれも素晴らしかったです。宝塚ではよくあるダンスで表現する役や影の役としては過去最高を叩き出したと言って過言ではないです。

 

エディト・ハルムス : 花妃舞音

2幕頭の自分が可愛いことをしっかり自覚したあざとい年下娘はもうお手の物でしたが、「こんな結婚生活のはずじゃなかった」と泣き叫ぶところの演技がちゃんと現実に揉まれている感じが出ててよかったです。でも最期エゴンは自分よりもエディトを…と言うんですよね。あの夫婦の生活もっとみたかったなと思わせるエディトでした。

 

レオポルド : 佳城葵

安定で芝居がめちゃめちゃ上手いし、エゴンと決別する歌も迫力あって音程も安定でさすがのものでした。レオポルドはアカデミーのお金は出してくれたくらい父よりは理解もあったわけで、エゴンが嫌いだったわけではないという絶妙な距離感も本当に素晴らしい芝居でした。

 

マリー・シーレ(母) : 桃歌雪

私の幸せと歌っていた優しい母親が、夫を亡くし息子が退学したなっていった末の「今なら許します」の一言の迫力たるや。プライドと気品をもった母としての絶対的強さを秘めた芝居が良かったです。

 

エーリヒ・レーデラー : 真弘蓮

悪気のない坊ちゃん感が絶妙で、狂言回しチームとしてしっかり舞台をすすめるあたり実力も確か。自分の役を必ずしっかり務める月組らしい若手でこれからの別格路線としての活躍も楽しみです。

 

ゲルティ・シーレ : 澪花えりさ

今までで1番の大役だと思いますが、このクウォリティのこのメンバーの中で見劣りすることなく演じていただけでもすごいと思いますし、特にエゴンの退学を伯父に伝えてしまった時の「仕方ないじゃない」は、兄を好きで応援してる気持ちと実家に残って生活している自分の狭間の揺れ動きがちゃんとみえた表情がよかったです。

 

キャスト別はここまで!

余談ですが、アカデミーの制服ポーでしたね。天つ風朱李が完全にアラン・トワイライトで二度見しました。

 

次の観劇感想は、もうほぼ書き上げている雪組「FROZEN HOLIDAY」です。

 

 

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