丸の内OLの観劇日記

20代会社員が宝塚について語ります!

月組「フリューゲル-君がくれた翼-」観劇感想

こんにちは

 

無事に千穐楽を迎えた月組「フリューゲル-君がくれた翼-」

千穐楽ライブ配信も観劇しましたが、今までみた中で1番多くの人が顔がびしょびしょになるくらい泣いていて、それだけ背負っていたものの重さ、仲間を失ったことによる悲しみを超えて、舞台上で笑顔をみせてくれていたのだと思ったら胸がキュッと痛くなりました。誰よりも最初に組子にお礼を伝え、緞帳前でもう一度組子への拍手をお願いする月城かなとのトップスターとしての姿にもまた胸がキュッとさせられました。

 

さて、千穐楽は過ぎてしまいましたが、観劇感想です!

 

まず失礼ながら、やればできるじゃんヨシマサ〜!!となったのは私だけではないはず。夢幻無双がなかなかになかなかで、CITI HUNTERはプロローグが1番盛り上がって終わるという印象が強すぎて…今回のフリューゲル、ちゃんと最後までしっかり話が描かれ、伏線も多すぎず回収されて、スターの見所もあり、なにより月城かなと・海乃美月のトップコンビが魅力的にみえる距離感と関係性を描きだしていました。

 

月城かなと演じるヨナス・ハインリッヒという役は"普通の"軍人で。もちろん母との過去とか引きずっているものもあるけど、それが全面に出てしまっている拗らせ坊やではないし、東西ドイツ統一のための高い志やリーダーシップがあるわけでもない。あくまでそんな人たくさんいただろうなーくらいの普通の人なのに、とっても魅力的で。軍人として真面目堅物、なのに展望台の上でだけ物腰柔らかく話すのずるいですよねえ。部下たちに好かれている人柄の温かさがじわじわ感じられるような人物に描き出すあたりさすがの芝居力と思いました。

 

アフガンの戦場の場面、髭を生やして恋人を託して亡くなるワイルドなアランの瑠皇りあがシンプルにかっこよすぎる。前回も前々回も子役で可愛いイメージが強いですが、ワイルド系もハマるとは!先生の餞別の気持ちが強すぎるのか蓮つかさがバイトをしすぎて混乱をうみます笑 そして元男役がいきているのか天紫珠李の女戦闘員が女性としてかっこよくて良い。

DDR桃歌雪のアンジーは語りも明瞭快活で歌唱のソロシーンも力強く、しっかりした実力で舞台を支え大納得の抜擢。また代役の咲彩いちごも劣らないクォリティで月組の未来を感じました。

 

ヨナスのチームにいる英かおとは良い感じの体育会系シゴデキ兄ちゃん演じさせたら右に出るものはいないほどしっくり馴染みすぎているし、礼華はるのほどよく脳筋な感じもキャラが濃すぎず薄すぎずバランスが良い。天愛るりあのミーハー女子な感じもぴったりで、1番難しいであろう喜怒哀楽の読みづらいリンを演じた白河りりは普段真面目で冷たく固い感じなのに、ちゃんとヨナスを信じていたりルイスになついていたり、ヨナスの家でうとうとしちゃったりと可愛い一面もあって限られた出番で魅力的にみせるところが素晴らしかったです。

 

西側はまず登場する社長の空城ゆうがシンプルにかっこいい。少し若い頃の輝月ゆうまを彷彿とさせる感じ。

強気で言いたい放題やりたい放題とみせかけて、ちゃんと社長に言われたら渋々仕事するし地に足はついているナディア・シュナイダーという役柄をバランスよく表現する海乃美月はやっぱりすごいなあと思いました。天真爛漫な彩みちるナディアもとってもキュートでそりゃ人気だよなという感じでした。海ナディアがプンプン怒るタイプとすると、彩ナディアはプリプリ怒るタイプです。

あっという間に転生した瑠皇りあは顔が良すぎてSNSあったらあのダンサーイケメンすぎ!って絶対話題だし、どこにいても目立つ涼宮蘭奈・天つ風朱李・一乃凛

 

マネージャーのヘルガ菜々野ありは、個性的で可愛いキャラクターを上手に描いていましたし、キャラが濃いのに話を邪魔することなくヘルガとして存在するのが見事でした。代役は新公の美海そら。こちらのヘルガもとっても可愛くて、彩ナディアとのバランスが取れていたのが印象的です。

風間柚乃のルイスは明るくて振り回されて笑いも取れるのに、所々で仕事のちゃんとできる人感を醸し出せるところが本当にさすが。難しい役をこなすという感じではなく、普通にいそうな人を普通にいそうに表現するというその自然さが見事だし芝居が上手いと言うまでもないくらい上手くて相変わらずすごかったです。

 

社会主義チームからヴォルフの鳳月杏、良い意味で肩の力が抜けた演技をするというか、この話では悪者として描かれるけれど決して悪気があったわけではなく彼は彼の正義に基づいて真っ直ぐ生きていただけという根本の人は良い人であるというそこはかとない柔らかさが良いですよね。最後に男役としてかっこいい格好がたくさんあって良かった蘭尚樹、癖のないただの悪人をやらせても抜群に上手い佳城葵、存在感がありすぎて立ってるだけでちゃんと怖い大楠てら、鋭い女政治家感がすごい妃純凛とチーム全体的に高クウォリティなあたりさすが月組

 

学生運動のリーダー?先導役である神父の夢奈瑠音はたしかに若い人に好かれてそうで裏で教育してそう!となりました。元気一杯のきよら羽龍「案内は私に任せてっ!」と自信たっぷりに友達のことを思うところが等身大でかわいい。そしてゲッツェ彩海せら。もう君が学生運動のチームにいる時点で失敗するなこれ…と思ってしまったよ。なぜか人民警察にも可愛がられてるゲッツェ

 

ヨナスの母白雪さち花。上手すぎないか?!記憶が朧げな哀しい女性、しかしちゃんと愛しい息子のことは片隅で記憶がある、だからこそまた切ない。名演技でした。そして弁護士の蓮つかさは本人の温かみが出ていて、他にも救われたユダヤ人はいるのにあえてこの人は恩を返しひきたんだなというところがホロリときます。

 

と、ここまでザーーーッと大まかに登場順に感想を書いてきたわけですが、登場人物がとても多い。組子できる限りに出番と見せ場を!という先生の意思を感じます。

でも意外とストーリーはシンプルで、①サーシャ脱出 ②ナディアを守れ ③壁崩壊と親子の絆 の3本立てのみ。だからこそぐちゃぐちゃにならず綺麗にまとまった話になったし、エピソードが1つずつ終わって進んでいくのであきもこない。いやはや先生できるではないか!!

 

サーシャ脱出のところ、個人的に興味深いのは学生運動の教会のみんなは東西統一のために運動していてその1つがサーシャである中で、ヨナスは完全に命の恩人の遺言を果たすという個人的な事情だけのために一所懸命なんですよね。本来はみんなのリーダーではないタイプという表現の仕方が見事だなと思いました。

ナディアのホテルに駆け込む場面では、ナディアの咄嗟の頭の回転の良さがその後の東西統一運動に積極的になるちゃんと頭で考えられる人であるというヒントにもなり上手い!と思わず思いましたね。

 

ナディア救出では捕まったヨナスを助けにきたトーマに、

ト「すぐにルイスさんと合流を!」

ヨ「ルイス?」

ト「ナディアさんが危ない!」

ヨ「ナディア?!」

という単語聞き返すだけの会話で全然頭働いてないのが可愛くてツボでした。

 

親子の再会の場面ではとにかく演技が素晴らしくて泣きそうになりました。愚かな自分を許してとお互い言ってしまうけっきょく似たもの同士というところと、それでもまだ息子と認識できない母。もしかしたら一生そのままかもしれないけど、新しい親子の絆が今からでも作れるのであれば壁が崩壊して変わるのは国とか大きなものだけではなく個人の小さな幸せなのだと思いました。

ナディアとヨナスが最後に恋仲になるでもなく、ちょっと良い感じで終わるのも気持ちが良く、それでもトップコンビがくっつかないなんて!とか一切思わせないのが今のトップコンビの良さだと感じました。

 

今の月組の芝居はあと1作。とても寂しいですが、今回また1つ素晴らしい作品に出会えたことに感謝です。

 

次回観劇感想は花組「BE SHINING」「激情 / GRAND MIRAGEのいずれかです。

 

 

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