こんばんは!
関東圏では今年最後の作品雪組「蒼穹の昴」が始まりました。無事にクリスマスの千穐楽を迎えられますように。
本ブログも今年最後の観劇感想です。
私はお恥ずかしながら読書があまり好きではなく…1番最近に本を読んだのがいつか?と聞かれたら作品も何年前かも思い出せないくらいなのですが、そんな私がすごーーーーーーく頑張って原作を4冊読みましたとも。
というわけでせっかくなのでまずは、本を読んだ上での脚本・演出に対する感想を書いていきます。原作とどこが違ったのか知りたい人もぜひお読みくださいね!
たぶん何の先入観もなく読み始めたら、中国の壮大な大地を思わせる作品なんでしょうけど、なんせ私は配役片手に読んでしまった手前、もう想像の範囲が大劇場で、雪組生の声で再生されます。
蒼穹の昴は大ヒット作品らしいですが、私の世代では全然有名ではない印象で、本を読まずに観劇したヅカヲタの友人は「ジェンヌの顔が見分けられるから話ついていけたし、思ったより分かりやすかった」と言い、非ヅカヲタでたまたま観劇した友人は「なにも分からなかった、革命失敗?なんでメガネ死ななきゃだったの?」との感想。
原作を読んだ私からするとよくやった原田先生、あれ以上のまとめ方はない!というくらいベスト要約だったと思うのですが、初観劇・原作未読の人にみせるには難しいかもと思いました。前も書きましたが初観劇の友人を連れて行くなら、できる限り主要メンバーが少ない作品(例: アナスタシア・グレートギャッツビー等)か、敵味方が色などですぐ分かる作品(例:ロミオとジュリエット・ハイロー)に限ります。
私が原作を読んで唯一後悔した点、それはあの感動的な船出の後に文秀による玲玲へのDVがあることですかね。
なんかあれ思い出すとあまりにも不快で、今はこんなに未来は明る今感じなのに、この先の旅でも原作の玲玲はそこまで幸せではないと思うと辛くて…だから宝塚版はここまでで綺麗に終わってよかったと思う反面、思い出すと辛いからやっぱ春児みとこ!とセリ上がるタイミングにいつも気付けないのでした。
ここからは登場キャラごとに原作を思い出しながら書いていきます。
まずは主役の梁文秀と李春児。
この2人は科挙に合格した後、原作ではずっっとすれ違いで!畢五(ピイウー)という、少年たちのアレを切ってはそれを担保に利子つけるというとんでもない商売をしている人のところにそれぞれ行っては、お互いの様子を畢五に聞き気にし続け、1巻でバラバラになった2人がたまたま彼の家で遭遇してしまうのは3巻後半。だからもうエモエモで、でもそれぞれ出世した2人は心の底からの会話はできず…という感じなのですが、京劇の後一緒に歌歌うし、西太后宛の手紙渡したり、エモさ減ってましたね。スミレコード的に畢五は無理でしょうし、出番的に2人が一緒に出るのは当然ですが。
できればもっと富貴寺のシーン欲しかったなあ。安徳海や黒牡丹との修行の日々を1曲でやってほしかったと、というか私の妄想の中では春児修行で1曲あったのですが笑 そして元宦官に盛大に送り出される春児、私の妄想では見えてたんだけどなあ。
あとは蘭琴。宝塚版では番手の都合上バッサリカットでしたが、春児との深い絆と友情、この2人もそれぞれ西太后と光緒帝につくことになるためだんだん本音で話せなくなって切ないのですよ。
御曹司育ちで主席入団の彩風咲奈に文秀を、細い糸を手繰り寄せ2番手までなんとかたどり着いた成り上がりジェンヌの朝美絢に春児を、人事的ラッキーガールともいえ彩風咲奈と不思議な縁を持つ朝月希和に玲玲を、次席入団で組替えしてきたばかりの和希そら(つまり出身地が他の人とちょっと違う)に順桂を、というのがまたヅカヲタの萌えを狙ってきてますよね…!
続いて順桂。もうあれが全ての出番です笑 他の見せ場はありません。爆弾が雪組お得意の阿片窟に取りに行く演出になってしまったが故に、頭おかしくなって西太后を殺そうとしたようにみえたり、もはやあの場面自体が順桂の妄想にも見えかねないというのは、唯一の演出失敗部分だったかなと思います。原作では普通に闇市で買いますが、娘役出番増やすためには仕方なかったのかな。
李鴻章は清国随一の将軍なのですが、見せ場が日清戦争の敗北なのでちゃんと伝わったかしら…日清戦争の場面、袁世凱は仲間を蹴り落とし王逸は助けているという芸が細かいです。2人は原作ではもっと重要です。香港返還の100年交渉が彼の1番の功績であり見せ場だったはずなので、1曲そこで欲しかったというかこれも私の妄想では聞こえていました。
ちなみに日清戦争はサラーっと語られ、あんな場面ができてるとは思わず!でした。
西太后・光緒帝は原作だとやっぱりもっと色々考えたら悩んだりしているわけですが、それでも短い場面で、周りの人の派閥争いの外で家族として愛し合い想い合っている2人という関係がちゃんと描かれていたのがすごいなと感心しました。
恭親王も時代を左右するもっと重要な立ち位置です。モブで終わってしまいました。
譚嗣同は原作ではちゃんと玲玲と婚約します!!!残念ながら幸せな新婚生活を迎える前に処刑されてしまったわけですが「僕は簡単な方を〜」の名場面がカットされなくて良かった。その点では突然振られたみたいになって、次の場面では玲玲と文秀ハグしてるし可哀想だったな。
ミセスチャン・岡さん・トーマスの3人はもっともっと原作は出番あり大活躍です。ぜひ3人のファンには本を読んで妄想してほしいくらい。終盤に文秀の亡命を助けるシーン、同じアジア人の岡が文秀を演じてトーマス始め外国記者が囲むことで袁世凱から守る(=他国の記者を撃ったとなると面倒だから袁世凱はそれはできない)というシーンも、もっといろんな準備と伏線もあるし、あの2人が途中で春児に取材して考えさせられるシーンとか、舞台で観たかったなあというのが盛りだくさんです。ミセスチャンに至っては突然出てきて意味わからない人多かったのでは…?と思いました。
私が演出するなら多少話の流れが悪くなったとしても、紫禁城のところでストップモーションかけて、重要人物だけ順番にスポットライト当てて岡さんにどんな人か説明してもらったかなーと考えました。
娘役の役が少ない…と言われてますが、逆に西太后付女官だけでよくあそこまで華やかにかつ出番増やしたな!と感激するレベルに、原作には女性が出てきません。だから娘役ファンの皆様、演出は限界ですしむしろ先生を褒めてあげてほしい。誰かを責めたいなら、上演を決めたことに対してだしそしたらこの大作は観れなかったと思うと悪い!とは言い難いかなと思いました…。
衣装も豪華で、紫禁城を大階段を使った演出は見事。あと数回チケットがありますので、もっと細かいところを観たいと楽しみです!
次回以降はキャスト別で書いていきます!
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