丸の内OLの観劇日記

20代会社員が宝塚について語ります!

上田久美子に贈る

こんばんは

 

ネットニュースを読みすごい衝撃を受けました。今までのスターの誰よりもショックを受けたかもしれません。それが上田久美子先生の退団。

最近の登板ないなーとは思っていましたが、卒業公演の連続もあり、今はインプットや書き溜めの時間なのかな?とか思っていたのですが…。

今となっては劇団1のヒットメーカー・上田久美子だったので、本当にショックです。今後は留学して宝塚のみならず演出家は続けるそうなので、嗚呼もはや宝塚の先生でなくなるなら、是非大河ドラマくらいやってほしい…!なんて思うところです。

 

そしてやっぱり上田久美子にとってのミューズは珠城りょうだったということが伝わってきますね。デビュー作「月雲の皇子」に始まった珠城りょうの駆け上がりと上田久美子伝説は、珠城りょう卒業公演「桜嵐記」で共に幕を閉じる。

もはやそれすらも美しい関係ではありませんか…。

 

私個人としては「翼ある人々」だけ縁がなく映像でも観れていないのですが、「星逢一夜」以降の作品は全て生で観劇しました。

僭越ながら卒業に寄せて思い出を書いていきます。

 

「月雲の皇子」はすごいらしい、珠城りょう・咲妃みゆ・鳳月杏という今は全員バラバラのキャストがものすごい洗練された演技をし、さらに若い頃の輝月ゆうま・朝美絢の活躍も観られると聞き、そうなんだ〜という軽い気持ちで映像を観ました。

その出来は衝撃。主要キャストは3人とも古代日本人とあって心の中を表情全面に出すことは決してないけれど、痛いくらい伝わってくるその人の想い。美しく儚くそれでいて力強い作品。

こんなにも素晴らしい日本物があったのか…!と思いました。

 

「星逢一夜」は忘れもしない1階4列での観劇。肉眼でもみえる迸る汗と涙。晴興・泉・源太がそれぞれを想う気持ちがあるからこそのラストの切なさ。つらい場面なはずなのに、子どもの頃に建てた思い出のたくさんあるヤグラと変わらない星空が綺麗だという切なさ。トップスター含めメインが幼少期から演じていた、あんなにも楽しそうだった1時間半前が幻のように心が締め付けられるような終盤からの、ラストシーンで幸せな子ども時代に戻るという演出がさらに泣かせにかかる。

数多とあるオリジナル作品の中でもこれほどのクウォリティを出したのは柴田先生以来でしょう。

 

「金色の砂漠」は、これでこそ座付演出家のオリジナル作品という配役。トップスターに奴隷役をさせ、しかもその奴隷は下剋上や革命を起こすのではなく、主人である姫と破滅の恋へと向かっていくというトップスター像を覆す配役。燃えるような恋をするトップコンビに対し、温かく別れを選ぶ芹香斗亜・桜咲彩花の同期2人。決して噛み合わないことがある意味幸せだったのかもしれないと思わされる瀬戸かずや・音くり寿の巧みな演技。子役の華優希の演技はこのころから光っていたし、鳳月杏・仙名彩世のあまりにも美しすぎる王と王妃の夫妻。この2人の配役と演技演出の秀逸さ。やっぱりウエクミは天才だと思わされました。

 

「神々の土地」、ロシアに行ったことはないけれど(そしてこの様子だとしばらくは行けそうにないけれど)、ものすごくロシアとソ連の狭間の独特の土地の雰囲気が伝わってくる舞台。

凍てついた大地、そこに息づく燃えるような心を持った人々。ボリシェビキも皇帝側もそれぞれの想いがあるというあの国のあの時代だけの独特の香りが漂っている舞台が印象的です。

 

「BADDY」の衝撃は忘れません。攻めに攻めている各キャラ設定と物語なのに、ちゃんと中詰め・ロケット・男役群舞・デュエットダンスという宝塚の形式に倣っているところがまたすごい。

この作品に並ぶ作品はもう二度とないだろうな、と思います。月城かなと・暁千星が余興とかではなく本公演でロブスターの被り物しているというのが今更ながらすごいのです笑

 

「FLYING SAPA」については、これはもういろんな意味で宝塚の域ではないと、本当に上田久美子先生は天才なんだ…というのが第一の感想で、それくらい脚本が光りすぎてスターの印象が薄くなるような感覚の作品。宙組生の演じる〜ではなく、先生の頭の中がそのまま舞台に乗っていたような、今まで観たことのない宝塚でした。

 

「fff」は偉人3人のカッコ良すぎる登場からの望海風斗の歌を"聴く"のではなく"浴びる"作品。各キャストではなくウエクミ論的視点でいうと、なによりも舞台の使い方が見事。セリの上と下で同時進行で違う時間軸や違う世界での話がすすんでいき、盆とセリで話が途切れずどんどん進んでいく。コロナ対策で空いたオーケストラピットにオケ役の雪組生を配置し、音楽の盛り上がりとともにオケピから人が弾けるように出てくる。脚本だけでなく舞台の使い方まで見事なものだなと思った印象です。

 

「桜嵐記」、大好きで大切な作品。たった1時間半なのに、まるで大河ドラマを1年間観終えたような満足感と重厚さ。デビュー作「月雲の皇子」以来の珠城×鳳月×上田の作品で、ずっとみんなが待っていた再び兄弟のたまちな。志半に亡くなった兄・正行の想いを継ぐのは、トップスターという重責を引き継ぐ月城かなとという、退団&引継ぎ作品としての役目も見事。

 

全作品に共通するのは、座付演出家としての使命を果たし、宝塚的美しさを表現したことでしょう。

どの作品も「あの作品のあの役がこの人で良かった」と思わされるものばかり。

悲恋、と一言で片付けてしまえばそれまでかもしれませんが、永遠に在団してくれるわけではない花のように華やぎ輝きそして散っていくタカラジェンヌを、今この時だけは幸せ…と儚く終わっていく物語になぞらえた宝塚的様式美表現が素晴らしかったと思います。

 

ウエクミの新作!というだけで楽しみだったのに、これからはそれがないと思うと寂しいですが、まだまだ若く可能性と才能溢れる先生がさらにパワーアップして、いつか宝塚以外だとしてもまた新作を観られる日を楽しみにしています。

 

 

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