丸の内OLの観劇日記

20代会社員が宝塚について語ります!

花組「冬霞の巴里」観劇感想

こんにちは!

 

花組「冬霞の巴里」観劇してきました!!改めて初東上おめでとうございます!!!

 

まず単純にストーリーが面白かったです。誰が悪いのか段々と分からなくなる伏線と、ずっとそこはかとなく嫌な空気感が漂い、すごく引き込まれました。

宝塚を観た後って「○○さんがカッコよかった」「○○ちゃんが成長してた」のような個人の感想が最初にくることが多いのですが、これは作品が面白かったというのが第一の感想でした。

 

指田珠子はポスト上田久美子にあらずとも思いましたね。私は龍の宮物語を観ていないのですが、少なくとも冬霞にウエクミ要素はなかったと思います。違う先生が違うテイストで名作を生み出す。それでいいのです。

決定的違いは余白だと思います。上田先生は詳細の詳細まで先生の中で描かれていて、そこまで伝わるように、解釈違いが起きることなんてあり得ないくらい彼女の頭の中のワールドを舞台上で表現させます。指田先生は、もしかしたこうだったのかも?とか、私はこう思ったけど他の人は違うかもしれない、という解釈の余白がある描き方をします。

例えば、最後のシーンのオクターブがアンブルに「姉と弟、それで姉さんはいいの?」と聞くシーン。解釈の仕方によっては、オクターブとアンブルは姉弟以上の想いを抱いていてこのままの関係でいいの?と問いかけるようにも聞こえますし、本当は血の繋がりが全くなかった2人が他人に戻ることで、無理に罪を背負わなくてもこれからは一緒にいなくてもいいのに弟の僕の近くが居場所でいいの?ともとれます。

ウエクミはこういう解釈の余地はなく、観劇した人が100%同じことを受け取るように描くのです。(SAPAのようにそとそものメッセージ性が難しすぎる作品もありましたが…)

どちらが良いとかではなくどちらにも良さがあり、指田先生の作品はこれからも指田ワールドで良いと思います!

 

全体を通して舞台演出が見事だったなと思います。

舞台の左右、上下、奥と手前で、過去と現在が同時進行したり、同じ時間軸の違う場所での出来事が起こったり。カーテンを半分閉めてその間に違うセットが準備されていたりと暗転も少なく自然な流れに引き込まれます。

 

エリーニュスの3名はメイクが独特でなんともいえない恐怖感をあおりますし、そこに血の飛んだ衣装なので、エリーニュスが出てくるだけで不穏な空気になる。なのにいつだってメイドや市民や踊り子に化けて混ざっていて、パリの街はどこだって嫌な気配がしているというのを表現方法に感心しました。

 

私たちが勝手にレミゼやMAなどから抱いているパリ下町の様子は、ペイント衣装とガタがきている下宿所からよく伝わりますし、下町メンバーが薄汚れ感をメイクで出しているのも分かりやすいです。

綺麗な衣装と綺麗な顔のブルジョアと、ボロボロの服と汚い顔のアナーキストや庶民の対比が、鬱憤とした時代であることを象徴していて面白いなと思いました。

 

ストップモーションも効果的で、昼食会でオーギュストの名前が出た途端に止まる、とか、そこに触れられると嫌な思いをする人がいる場面で、バチっと舞台の時間がとまるので、誰が何に嫌悪感を持っているのかがすごく伝わってきます。この使い方はうまいなあ、と思いました。

 

あと特筆すべきは、イネス(琴美くらら)の存在でしょう。

1幕では不穏な空気でオーギュスト(和海しょう)と一緒に登場するので、亡くなった人かな?と予想はできても、もしかしたら概念的に亡くなった少女クロエかもしれないとも捉えられ、2幕まで全く説明のないまま進んでいきます。

そういう"気になる"が積み重なって、どうなるんだろ…?!という展開がとても楽しかったです。

特にあの2人が家族写真に映り込んでくるシーンはゾクッとしますよね。

 

たしかに楽しくてハッピーな気持ちになる作品ではないかもしれないけれど、すごく楽しめました。なんだかNYのSLEEP NO MOREの世界観(マクベスレベッカがモチーフ)を思い出しました。

今後も先生の作品が楽しみです!

 

長くなってしまったのでキャスト別は次で書きます!

 

 

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