こんにちは
ついにこの作品の感想を書く時がやってきてしまいしました。月城かなと・海乃美月の最後の観劇感想です。
久しぶりの正塚先生の大劇場新作オリジナル。正塚世界観が満載で、少し地味で難しく、ハマる人にはハマるけど、微妙という感想を持つ人も一定数いるんだろうなという感じ。
私個人としては、メアリ・スチュアートの絡んでいるイギリス史についてなんとなくの知識があったこと、カトリックとプロテスタントの違いと争いの歴史、バチカンの宗派と英国国教会の違いなどが掴めていたため、ストーリーを一発で理解することができましたが、この辺りに詳しくない人には暗くて難しい作品だったかもしれません。
史実では1861年から10年間がヴィクトリア女王の隠遁していたとなっており(別に呪いが原因ではない)、雪組で上演されていたばかりのシャーロックホームズの作者コナンドイルが1859-1930でしたのでちょうど同じ時代です。雪組が先に上演されていたことでなんとなく、あの時代のイギリスは本当に超常現象が流行りだったのかと納得できる部分もあるかなと思います。その辺りがクリアになれば作品の解像度があがり、そこそこ楽しく観られる作品かなと感じました。
これはWikipediaでみつけた情報ですが、ヴィクトリア女王は血友病の染色体をもっており、おそらくその原因は父親が高齢だったこと。そして娘アリスも同じく血友病を受け継ぎ、その娘アレクサンドラもまた。そのアレクサンドラこそ宝塚でも上演されたアナスタシアの母であり、ご存知の通り末息子のアレクセイがこの病気で苦しんだことが原因でラスプーチンがロシア皇帝一家に出入りすることになります。欧州王族の歴史はこれだから面白いですね。
それでは今回は順を追って感想を書いていきます。
まずオープニング、ものすごくディズニーシーを感じるのですが分かる方いますか?ランドじゃなくてシーなんですよ、ソアリンの辺り笑 音楽も含めディズニーシーぽさが強くてワクワクします。
そこからオークションの場面への舞台運びが綺麗ですよね。競売人の真弘蓮はセリフが多いモブと言ってしまえばそれまでのところをちゃんとプロローグから物語へ運ぶ最初のセリフとして上手く舞台全体を落ち着けてくるあたり本当に上手い。
礼華はるのカイはものすごく良い子なんだけど、たぶんこれから展開される不思議な力とは1番遠いところにいるんだろなという純朴さが最初からちゃんとキャラ出しできてきて、芝居の月組で鍛えられてきたものが少しずつ良い形になって現れてきているように感じました。
物語のキーとなるメアリー・スチュアートの首飾りを買い取る場面。主役の月城かなと演じるユリウスと首飾りの持ち主サミュエルの英かおとによる長めのセリフのみの芝居。途中で歌い出さず踊り出さず舞台装置もシンプルで、2人のセリフだけでのやりとりなのですが、引き込まれる緊張感があり、これぞ正塚先生、そしてそれを体現する2人!となってヲタクとしてのテンションは爆上がりです。
そこから銀橋でユリウスが歌うシーンでは、何を示しているのかわからないけど後ろで期待の若手がたくさん踊ってるからそっちも観たい。顔の綺麗さがみるたびにレベルアップする瑠皇りあ。
叔父のジェームズとその恋人(?)アマラの凛城きらと羽音みか。この2人の組み合わせがこんなに良いと予想してました?!?!ちょっと変わり者のジェームズと女主人で大人の女性で落ち着いたアマラの、メインカップルではないような関係の2人だからこそ出せる絶妙な萌えと雰囲気。正塚作品常連たる丁度良い抜け感はさすがのもの、そして羽音みかがこんなに良い芝居するとは…「絶対変わってる あんたも」の言い方と間の取り方が良いんですよね。
超常現象研究家のヴィクターと、その研究に協力する不思議な力を持ったアデーラ。あの写真じゃ分からず現場にお連れする予定だった事件はどうなったんですか?地味になんだったのか気になる。そしてヴィクターとアデーラはどうやって出会ったんだ?笑 そこが全く描かれないのも正塚先生なんですけどね。始まった時から友達、知り合い、みたいな。
鳳月杏は若返りましたね!!役柄的にオジサンにする必要がなかったからかもしれませんが、爽やかで色気もほどよく(良い意味で)抑えてあって良い感じの青年もまだまだできるところも見事。
海乃美月は出だし数コマでアデーラが今までどれくらい生きづらくて悩んでて、でも決して不幸だったとかそういうわけじゃなく、自分なりに前を向いて歩んできたから今日ヴィクターのところで研究に協力してみてるというところを打ち出せるのがすごい。プロローグもこの場面もピンクのフリフリドレスを爽やかに着こなすのもさすが。
研究所にやってくる秘密局のダシエルとエイデン。風間柚乃と天紫珠李の2人がもともと持つ生真面目な硬さが役に良い形で反映されていますし、エイデンの「それが本当なら…あ…」という一言でエイデンの硬質な感じが声にも態度にもよく出ていて、対してダシエルの「超常現象は流行りだから、なんでもできちまう」の後のバツの悪そうな顔とエイデンに目を逸らされるところが、また良い。風間柚乃は芝居がやっぱりとにかく上手く、たぶんマキシマスとかやらせたらとんでもない迫力だったと思いますが、こういう普通の人間でこそ演技が光るというか、良さが出ているように私は感じます。時代や国は違えど、普通の人物、よくいる民衆の中の1人みたいな役でも違和感なく世界観にちゃんと生きづくところが素晴らしいですし、そんな風に舞台に立っている人がいるからこそ作品全体の説得力や真ん中の人のキャラクターが際立ち、本当にすごいなと今回も思いました。
ユリウスとアデーラの「メアリスチュアートの首飾り!」が毎回"メ"からぴったりでさすが。超常現象研究家のヴィクターになぜユリウスは今まで自分の力のこと言ってなかったんだろ?勘が冴えてるだけで超常現象とは別物と思ってたのかな??
霊媒のエゼキエルと呪術師のマキシマスの姉弟、まずこの2人が姉弟という設定だけで喜べるのは私もだいぶ長く宝塚ファンをやってきたなと思います。また捨てられたのか…絶対貧乏だったじゃん可哀想……と思わせる何かがある(主に弟のせい)2人。彩みちるの「議論 議論〜」だけで、不機嫌なことと気の強いのが伝わってくるし、滑舌が良くて最高。高血圧には気をつけて…とリアルなオジサン感の高翔みず希のゼイン。あの息切れ芝居いいんですよね、花組にいる時は見守る年長者ってイメージが芝居でも強かったですが、だいぶ2人に押されているのが新鮮。「せめてゆかりの品物などあれば…」と目を爛々とさせながら語る彩海せらがまた足を踏み外していることにニヤニヤしながらも、この2人が圧倒的にキャラ強くいのに逸脱しすぎないところに落とし込んできているあたり塩梅が素晴らしいです。でもとりあえず心霊現象研究会の久城あすの兄貴、迎えにきてくれ。本物だぞ。呪いの歌の娘役ダンスがすごい好き。
なんとここまでで約3000字。最後と思って思い入れが強すぎて…続きは次の記事にします。
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