丸の内OLの観劇日記

20代会社員が宝塚について語ります!

月組「応天の門」観劇感想

こんにちは

 

やっと月組の感想に辿り着きました。このブログを読んでくださる方がどのくらいいるのか正直分かりませんが、お待たせしました。

 

今作は月城かなとの任期の中では箸休め的存在、話題性のある映画の初舞台化→イケコ1本物ときて3作目であり、漫画作品の初舞台化ではあるものの超話題作(舞台鬼滅や呪術廻戦みたいな)では正直ない中で、最も月城体制月組らしい作品になるであろうなと感じました。

また私個人的に嬉しいのは、原作の先生がたいそう舞台化を喜んでくださり、自らのSNSで宣伝してくれたり感想をつぶやいてくれたり、挿絵に月組ポスターの構図を取り入れてくれたり、ハッシュタグつけたら皆さんの読みますと言ってくださったり、ディミトリの時もそうでしたがきっと今まで宝塚とは無縁だった方が公式にすごく応援してくれるのが温かい気持ちになりますね。

 

話のテンポがよく伏線や登場人物を広げすぎないで、ちゃんと1.5時間で綺麗に収めるようにエピソードをピックアップしているところは先生の手腕です。しかし、「この場面をみるためだけに通っても良い!」みたいな見せ場がないのも事実。またヅカファンには一定層いる話はトンチキでもいいがトップコンビにはロマンスをという方々には全く刺さらない作品。その中で、トップコンビに男女の恋愛がなかろうと、盛り上がりにイマイチ欠けようと作品としての完成度が確かなものであったのはひとえに芝居の月組の力だと思います。

 

特にトップコンビが恋愛でなかろうと誰にも文句を言わせなかったのは、照姫:海乃美月の役者魂とスターパワーですね。"相手役"という立場でなくても1人で立って輝くことができる娘役だからこそ今作の関係は成り立っていました。彼女はトップ娘役としては遅咲きでしたが、それ以前に数々のヒロインだけでなく、当て馬的役割や母親役や脇役も沢山沢山経験してきたからこその引き出しの多さが、役者としての幅に繋がっているんだなと感じました。

そんな照姫に坊ちゃんと呼ばれる主演の菅原道真:月城かなとは、圧倒的な美貌と大人ぽい魅力というのを本人の持ち味にしながら、全くそこに頼らない役作りが見事。少し冷めているというか一線を引いたところで世の中をみていて可愛げがなさそうにみえて、やっぱり幼い部分はあるし数少ないけれど友達には頼りにされる少年の良さみたいなのがちゃんと出ていたし、よくみたらもちろん顔はとんでもなく綺麗なんですけど、作品中はイケメンだぁ!!なんて良い意味で全く思わせないところがすごいなと。会話の間の取り方がまたすごくて、応天の門の道真のペースみたいなのが確立されていました。

在原業平:鳳月杏が、百鬼夜行の黒幕を知り手を引いて道真と喧嘩?する場面は本当にすごいなと思って。「お前たちのことを…!」の場面、相手が権力者だから逃げるわけではなくいろんなことを考えて決断する大人としての業平と、それが全く伝わらない少年の道真、全てお見通しで間に挟まれるこちらも大人の照姫というのがあの一瞬で伝わる演技力が素晴らしい。長谷雄や常行にみせる男同士の凛々しい顔と、高子や街の女性にみせる顔が全然違くて、特に高子に対して溢れ出る色気が半端なくてドキドキしちゃいます。さすがです。若い頃の業平:英かおとも良い色気を出しますね。心の傷を癒すためにいろんな女性と浮き名を流す前の若くて一途でも既に魅力に溢れた業平でした。また、若い頃の高子:蘭世惠翔も兄弟に心を閉ざす前の純粋さが際立ち、なんといっても京1番のカップルだったんだろうなあと。

 

路線だけで数えれば5対1くらいで敵対する藤原基経:風間柚乃いやあ…すごいですなあ…。道真が嫌う権力への欲望の静かな熱さ、簡単に人を切り捨てる冷たさ、心の奥底に残る人間の部分を全て絶妙な説得力のあるバランスで表現する実力。恐ろしや。

基経の養父藤原良房:光月るう。本物いるわあと感じる見事な台詞回し。今時点で権力を最も握っているはずなのに見え隠れする焦り、でもそれを全面に出してはいけないというプライド。最後まで名芝居でしたね。

この黒い親子が権力を握るためのキーとなる藤原高子:天紫珠李も良い芝居をするようになりましたねえ。心に大切にしまっている業平との想い出と消えぬ想いを絶対に外に出さずに、臆せずに嫌味も言うし兄へもあの態度。でも冷たい人間ではなく多美子のことはちゃんと可愛がっていたんだなという部分がまた、業平が惚れただけあるとなるわけです。

残りの2人の藤原兄弟、国経・遠経:彩音星凪・一星慧も上手いです。嫌な雰囲気が2人ともちょっと異なるんですけど、ちゃんと嫌な兄弟で笑えます。可哀想な吉兆丸:瑠皇りあ狂犬病死は宝塚の中でも屈指の可哀想な死に方だった気がしますが…今回は礼華・彩海でもソロ曲がもらえなかった中で、フレーズは短くとも3回ほどソロをもらえたのは美味しかったですし、歌も上手かったです。

 

藤原が暗躍するのは清和帝:千海華蘭が若いから。すごくないですか?!月組男役の中なら年功序列で上から2番目。なのにあの年若さたるや。ずっと不安そうな顔しているのが堪らない。あの「〜たも?」の可愛さはなんですか?!?!これが最後と思うと寂しい気持ちもありますが、酔っ払いジジイから可愛い帝まで、カメレオン役者とはこの人を指すのだと思います。それにしても突然、常行に踊れと振るの酷すぎるし酒一気した後にまだ踊れというのがまた酷すぎるwww

入内する多美子:花妃舞音との並びの可愛さがすごい。やはり彼女は生粋のヒロイン役者というか、出てくるだけでこの子が姫だと客席が納得する可愛さは特筆すべきです。

そりゃああんなに可愛い可愛い妹なら心配だよなあという藤原常行:礼華はる。藤原でも良い人と見せかけて別に政治に興味がないだけで民のことを考えてるとかそういうのではない、単純に妹が心配な兄という個人的事情だし、業平と友達として渡り合えるほどの色男でもあるというとても難しい役所。業平との並びも十分かっこよく、周りが芝居上手すぎるので特別上手いとは正直ならないものの、月城・海乃・鳳月とそつなく芝居しているだけその成長が素晴らしいです。組替えして他組にいけばダントツの芝居上手路線にのれる可能性も高いので、月組にいるからこその芝居力ですが風間・彩海に挟まれる月組から出た方が映えるかも?と思いました。

 

そして最後になりましたが、白梅・長谷雄:彩みちる・彩海せら。月城かなとと3人で芝居することが多くさらに梨花ますみまでいるもんだから、雪組?!となるエモ瞬間。さすがは漫画原作の経験値というか、セリフを喋ってない時の2人の小芝居のコミック感は素晴らしいです。2人揃って本当に可愛い、吉村家バンザイ笑

 

3000字近い超長文になってしまった。今回は話の流れに沿って感想を書くスタイルにしてみました。

 

次はショーの感想を書きます!

 

 

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